ひととどう関わればいいの? 『浮世でランチ』
この著者は前から気になってました。
わたしが取ってる新聞の日曜版だったかな、
エッセイ風のを連載してたから。
自分自身の自信のなさとかひととの距離の取り方とか、
結構、“素”なのかな、と思わされる文章を書いてたから。
芥川賞の候補作になったデビュー作はまだ読んでないんだけど、
図書館で見つけたので読んでみました。
『浮世でランチ』。
25歳の主人公。
彼女はランチを誰と一緒に食べるかという悩みを抱え、
結局、毎日コンビニ弁当を手に公園で一人で食べていた。
会社を辞めることにした彼女は、初めて海外一人旅に出ることに。
目的地の一つがミャンマー。
彼女は昔から一人でいるのが苦手ではなかった。
それでもなんとなく仲良かったのが、
男の子なのになぜか女言葉をしゃべる、
幼なじみの犬井。
中学時代、
犬井が好きな新田さん、わたしが好きな高林さん、
最近気になっている鈴木くんの同級生5人で、
ミャンマー人の母親と住む犬井の家で
「神様ごっこ」を始めることにした。
25歳の今の彼女と、中学時代の彼女が
交互に錯綜してストーリーが進む。
ひとが苦手だからって、意識的に避けてても、
みんなさ、他人とかかわってないってことはないんだよね。
この主人公もそう。
一人旅に出ていても、
会社でもそんなに仲良かったつもりもなかったミカミさんと
メールで会話して、自分の考えてることを吐露してたり。
4人のうちの誰かが書いてるってことを知ってるはずなのに、
神様ごっこで、神様と手紙の文通して会話をしたりして。
著者自身はこの主人公に似てるのかな、と思っちゃった。
決してね、見てて、読んでて「イタイ」わけじゃないの。
ただ、ひととどう関われば、どう距離を取ればいいか、
わからない、うまくつかめないというか。。。
そういうことって、わたしも感じることあるし。
本文より
ミカミさん宛のメール
~・・・もっとハキハキ喋れば通じるのかもしれないのに、
ワタシは自信のないしゃべり方しかできない。
思えば日本でもそうでした。
日本語がわかる人にも、私の言葉は通じない。
誰にもなんにも、通じないんです。・・・~
ミカミさんからの返信メールより
~・・・「上手く喋れないけど、わかって欲しいの」
としか考えていない人の言葉に、
耳を傾けたいと思う人はいません。
どうしたらいいのかは、自分で考えてみてください。~
彼の本が好きで、
著作を読みあさっていた“火宅の人”の壇一雄。
彼のことを書いた沢木耕太郎の本にもあったけど、
ちょっと引用。
~壇(一雄)には、常に、
自分がいる場所から抜け出したいという思いがあった。
壇には、放浪の欲求と人恋しさが常に同居していた。
常にひとりであることを欲しながら、
同時に人とあることを欲する。
あなたが望んでいる孤独というのは、
新宿裏の孤独なのですね。
人に会いたくなれば、
いつでも人に会えることが必要なのですから。 ~
沢木耕太郎 『壇』より。
人って、
いつも誰かといることを、誰かと一緒にいたいんだということを、
意識せずとも欲しているのかな。

わたしが取ってる新聞の日曜版だったかな、
エッセイ風のを連載してたから。
自分自身の自信のなさとかひととの距離の取り方とか、
結構、“素”なのかな、と思わされる文章を書いてたから。
芥川賞の候補作になったデビュー作はまだ読んでないんだけど、
図書館で見つけたので読んでみました。
『浮世でランチ』。
25歳の主人公。
彼女はランチを誰と一緒に食べるかという悩みを抱え、
結局、毎日コンビニ弁当を手に公園で一人で食べていた。
会社を辞めることにした彼女は、初めて海外一人旅に出ることに。
目的地の一つがミャンマー。
彼女は昔から一人でいるのが苦手ではなかった。
それでもなんとなく仲良かったのが、
男の子なのになぜか女言葉をしゃべる、
幼なじみの犬井。
中学時代、
犬井が好きな新田さん、わたしが好きな高林さん、
最近気になっている鈴木くんの同級生5人で、
ミャンマー人の母親と住む犬井の家で
「神様ごっこ」を始めることにした。
25歳の今の彼女と、中学時代の彼女が
交互に錯綜してストーリーが進む。
ひとが苦手だからって、意識的に避けてても、
みんなさ、他人とかかわってないってことはないんだよね。
この主人公もそう。
一人旅に出ていても、
会社でもそんなに仲良かったつもりもなかったミカミさんと
メールで会話して、自分の考えてることを吐露してたり。
4人のうちの誰かが書いてるってことを知ってるはずなのに、
神様ごっこで、神様と手紙の文通して会話をしたりして。
著者自身はこの主人公に似てるのかな、と思っちゃった。
決してね、見てて、読んでて「イタイ」わけじゃないの。
ただ、ひととどう関われば、どう距離を取ればいいか、
わからない、うまくつかめないというか。。。
そういうことって、わたしも感じることあるし。
本文より
ミカミさん宛のメール
~・・・もっとハキハキ喋れば通じるのかもしれないのに、
ワタシは自信のないしゃべり方しかできない。
思えば日本でもそうでした。
日本語がわかる人にも、私の言葉は通じない。
誰にもなんにも、通じないんです。・・・~
ミカミさんからの返信メールより
~・・・「上手く喋れないけど、わかって欲しいの」
としか考えていない人の言葉に、
耳を傾けたいと思う人はいません。
どうしたらいいのかは、自分で考えてみてください。~
◆◆◆
彼の本が好きで、
著作を読みあさっていた“火宅の人”の壇一雄。
彼のことを書いた沢木耕太郎の本にもあったけど、
ちょっと引用。
~壇(一雄)には、常に、
自分がいる場所から抜け出したいという思いがあった。
壇には、放浪の欲求と人恋しさが常に同居していた。
常にひとりであることを欲しながら、
同時に人とあることを欲する。
あなたが望んでいる孤独というのは、
新宿裏の孤独なのですね。
人に会いたくなれば、
いつでも人に会えることが必要なのですから。 ~
沢木耕太郎 『壇』より。
人って、
いつも誰かといることを、誰かと一緒にいたいんだということを、
意識せずとも欲しているのかな。
山崎ナオコーラ/河出書房新社

この記事へのコメント
何だか自分に置き換えて考えてしまいそう
確かに人を凄く欲してる時ってあるかもしれない
たまに、「全く1人で生きてます」みたいな事を耳にするけど、
人と人から生まれてきた人が1人で生きれるはずがないもんね
どんどん繋がって行ってると思う
その昔のドラマじゃないけど
「人とゆう字は・・」
正に助け合って生きてく
そして本文のメールのように
人と歩み寄る事が大切なんですよね
読み込んでいくと、
人との関係を考えさせられる本なんだと思う。
私自身、ズキッとするとこもあったしね。